1年生の前期は、デザインの基礎をしっかりと身につけていただく大切な時期です。
基礎課題の中でも特徴的な「観察スケッチ」
全デザイン領域の学生が受講する課題です。担当教員によって被写体などは少し違いますが、習得してほしいことは同じです。
今回は、福田尚子先生の「観察スケッチ」を先生の解説を交えながら紹介します!
————————————————————
「観察スケッチ」は、対象物を先入観なしにありのままに観察すること、
そして観察を通して発見したことを、見る人に伝わるよう明快に描き出す力を身につける課題です。
課題⑧『時間経過のスケッチ』
授業日までに観察しておいた内容を元にして、時間経過による変化に焦点を当ててスケッチで表現する課題です。
各自が観察する対象物を設定し、24時間毎、1時間毎など一定の時間経過による変化を観察し、簡略なスケッチや写真・メモ等で記録しておきます。
授業日には、“変化のポイント”を強調し、8コマのスケッチで表します。
提出作品の中から、対象物も表現法も異なる特徴的な3名の作品を紹介します。
①松下 さくら『燃ゆる紙』
紙をピンセットで挟んで火を点け、燃える紙の変化を観察しました。
紹介する3人の中でもっとも短時間で描いたスケッチですが、炎の色と形をわかりやすく捉えており、燃える炎のメラメラとした音が聞こえてくるような臨場感があります。
上手く描こうとするのではなく、素直に観察して描いたところが良かったと思います。出来そうでなかなか出来ないことです。
紙とピンセット(・・・に見えませんね)をシンプルな線だけで表現して主役の炎を目立たせたのは正解ですが、脇役にももう少し心配り出来るといいですね。
②馬 悦『バナナの変化を観察する』
馬さんの作品からは、全てを観察して全てを描きたい、という意志が感じられます。観察スケッチの出発点として、とても大切な姿勢だと思います。
馬さんはがんばり過ぎて観察のポイントが不明瞭になってしまうことも度々なのですが、このバナナは、観察のポイントにぶれがなく、見る人を惹き付ける作品となりました。
ただし、これはスケッチというには描き込み過ぎです。観察したことをもっと短時間で、もっと簡略に描いてみましょう。
③冨永 秀樹『花』
花が朽ちて行く様子を観察して描きました。余分なものを描かず、花の部分だけをクローズアップすることで、花びらの形やガクの形の変化を、しっかりと観察して描き出すことが出来ました。色合いの変化も、丁寧に観察されています。
冨永さんのスケッチは、硬派な印象のものが多かったのですが、この作品はとてもエレガント。対象物の色と形を写し取るだけでなく、枯れて行く花の美しさ(目に見えないニュアンスのようなもの)を感じさせる作品となりました。
講評:福田尚子先生
———————————————————————
それぞれ特長を捉えながら、しっかりと描いていますね。
基礎の課題はデジタルが普及した今、学生によっては遠回りしているように感じているようですが、基礎をしっかりとやることで必ず将来に活きてくること保証します!
しっかり基礎固めをして、次のステップに進みましょう。